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「はんだシュッ太郎NEO」でハンダをシュッと吸い取る


f:id:kawauso3110:20190303234136j:plain「ハンダをキレイに一発で吸取りたい」というのは全人類の願いである。とはいえ、電動は高くて買えないし、吸取線だけでは吸取りきれないハンダもある。そんなとき手を差し伸べてくれたのが、サンハヤトの『はんだシュッ太郎NEO』であった。

 

〈投稿者: 斎藤公輔(NEKOPLA)@kawausokawauso

組込みエンジニア。エアコンの配管や室外機を愛でながら、ときにはデジタルガジェットを制作したり、ライターとしてデイリーポータルZなどに寄稿したりする生活を送る。 

サンハヤト はんだシュッ太郎NEO 45Wタイプ HSK-300

サンハヤト はんだシュッ太郎NEO 45Wタイプ HSK-300

 

自作キーボードにハマる

先日、初の自作キーボードを組み立てた。『Mint60』という分離式キーボードである。

 

eucalyn.hatenadiary.jp

eucalyn.shop

 

キーキャップにもこだわりたかったため、海外通販を探しまわって好みのもの(XDAプロファイルという形状らしい)を見つけてきた。

 

ja.aliexpress.com

 

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最終的に出来あがったのがこちら。めちゃくちゃかわいい。分離式で、かつキー配列も無理がなくキレイにまとまっている。最高である。

 

ところで『Mint60』は、スペースキー周辺のキー配置に若干の自由度がある。

 

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最初は「この配置しかないだろう!」と思って、右手の親指部分(赤丸周辺)を長いスペースキーにしていた。

 

でもしばらく使ってみると、抗いがたい違和感があった。右手の親指位置みたいなエースポジションに置くべきなのは、間延びした長いキーなんかではなかったのだ(個人の感想です)。

 

よし、さくっとキー配置を変えて、親指の部分を2キーに分離しよう。

約100カ所のハンダを剥がす苦行

キーボードの構造を確認したところ、所望のキー配置にするには、全部のキーをいったん外さねばならないということが分かった。細かい説明は省略するが、そうしないとスペースキーに取り付けてあったスタビライザが外せないのだ。さあ、困ったぞ。

 

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右手側にはキーが37個ある。それぞれにハンダ箇所が2つずつあるので、計74カ所。おまけにPro Microも外さなければならず、そのハンダが24カ所。合わせると98カ所ものハンダを剥がす必要があった。これは辛い。

 

ところでハンダを剥がす工具は、大きく分けて3つある。

 

  1. ハンダ吸取線 
    goot はんだ吸取り線 CP-2015

    goot はんだ吸取り線 CP-2015

     

     

  2. 手動ハンダ吸取器(スッポン) 
    白光(HAKKO) 簡易はんだ吸取器 ハッコースッポン 20G

    白光(HAKKO) 簡易はんだ吸取器 ハッコースッポン 20G

     

     

  3. 電動ハンダ吸取器 
    goot 自動はんだ吸取器 TP-100

    goot 自動はんだ吸取器 TP-100

     

 

このうち電動のは、安いやつでも2万円ほどかかる。私みたいに趣味で細々とやっている人間には高嶺の花である。

 

ハンダ吸取線やスッポンは愛用しているものの、あれで100カ所のハンダを剥がせと言われると軽く泣いてしまう。もちろんすんなり剥がせることも多いけれど、上手く取れないときには、ハンダじゃなくて時間が無限に吸い取られてしまう。

 

これは長く辛い戦いになるな……というのを覚悟した。

救世主『はんだシュッ太郎NEO』

そんなとき、『はんだシュッ太郎NEO』がいいぞ、というのを耳にした。

 

 はんだ……シュッ太郎……NEO……? 

 

サンハヤト はんだシュッ太郎NEO 45Wタイプ HSK-300

サンハヤト はんだシュッ太郎NEO 45Wタイプ HSK-300

 

やべー名前である。「シュッ太郎」の時点で身構えてしまうが、おまけに「NEO」である。

 

どうやら前機種が『はんだシュッ太郎』で、改良版が『はんだシュッ太郎NEO』というらしい。NEO界では『サラリーマンNEO』以来の新星である(適当)。かなり気になる存在だ。

 

価格が5000円程度するので若干躊躇したものの、そのネーミングセンスと絶妙な立ち位置(スッポン以上、電動未満)に心を打たれ、気がついたらアマゾンでポチっていた。

 

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左から、ハンダ吸取線、手動ハンダ吸取器(HAKKO SPPON)、『はんだシュッ太郎NEO』、ハンダごて(HAKKO FX600)である。

 

シュッ太郎をひとことで言うと、スッポンと半田ごてを合体させたものだ。

 

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このようにバネを押すと、下がりきったところでカチッとロックされる。

 

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リリースボタンを押すと、バネがピョンと戻る。その際にスッポン内部の圧力が下がり、

 

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こて先に空いた穴に吸引力が生じる。つまりここからハンダを吸い取るのだ。

 

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吸い込んだハンダは、空洞部分にたまっていく。ここは掃除のために取り外せるようになっている。

 

構造としては完全にスッポンなのだが、吸引する穴の部分が半田ごてになっているため、「ハンダを溶かしながら吸い込む」ことが可能なのである。いままでハンダ吸取りに苦労した経験のある方なら、この構造の絶妙さが分かるだろう。

 

かなり期待が持てる。さっそく吸い取ってみよう。

ハンダを吸い取る

シュッ太郎を使って、実際にハンダを剥がしてみた。

 

 

次から次へとハンダが吸い取れる。吸い取れるぞー! うわー!!

 

このときは手元が映しづらかったので、あとで別の基板を使って吸い取る様子を観察してみた。

 

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まさに「シュッ」である。これを見てしまうと、もうネーミングは「シュッ太郎」以外ありえないとさえ感じる。

 

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そして無事に全パーツを剥がし終えたのであった。

 

先に書いたとおり約100カ所を剥がしたわけだが、時間は1時間もかからなかった。こんなにスムーズにハンダを吸い取れたのは初めてだったので(腕が悪いというのもある)、感動して「やばい、これはやばい」としか言えなくなり、しばらく著しい語彙力の低下に見まわれた。

シュッ太郎の欠点

ただメリットばかりではない。気になった点を書いておく。

 

  1. 加熱が遅い 

    半田ごてとしては一昔前の雰囲気があり、ハンダを溶かせる温度になるまで2分程度かかった。

     

  2. ずっと使っているとかなり高温になる

    温調機能も付いてないため、電源を入れっぱなしにしているとかなりの高温になる。

      

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    基板に一瞬触れただけでも、こんな風に焦げてしまう。注意しないとパーツによっては熱で破壊してしまう危険がありそう。

     

  3. 片手での操作は困難

    バネを押し下げる、リリースする、という動作が必要なため、持ち方を工夫しないと上手く扱えない。片手でやる場合は半田ごて部分をグーで握り、親指を使ってバネの操作をすることになる。

     

    私は片手では辛かったので、右手で普通に(ペンを持つように)半田ごてを握り、左手でバネの操作をするという両手使いにした。

まとめ

ハンダ吸取線やスッポンで苦労した経験のある方は、一度使ってみるのをオススメしたい。シュッ太郎の功績により、私の自作キーボードは無事に満足のいくキー配置に変更できた。

 

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ちなみに原稿を書く際は、左右をこれくらい離して使っている。

一度分離キーボードに慣れてしまうと、もう普通のキーボードは狭すぎて使えなくなる。肩こり防止にめちゃくちゃ効果があるので、分離キーボード自体も激しくオススメである。

 

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そしてまんまと沼にハマった私は、次の自作キーボードを作り始めるのであった……。

 

(完)