ホンダのバイク「CT125 ハンターカブ」に装着できるシフトインジケータと電圧計を、3Dプリンタを使って自作してみました。
〈投稿者: 斎藤公輔(NEKOPLA)@kawausokawauso〉
組込みエンジニア。エアコンの配管や室外機を愛でながら、ときにはデジタルガジェットを制作したり、ライターとしてデイリーポータルZなどに寄稿したりする生活を送る。
ハンターカブを買った
2021年の4月に、CT125 ハンターカブが納車されました。私にとっては3台目、約10年ぶりに所有するバイクです。
以前に乗っていたフルカウルの250ccと比べると、車体も小さく、各部をいじるのも簡単です。電気系エンジニアの血が騒ぎ、電装系をチマチマといじって楽しんでいます(逆にエンジンなど機械系のことはさっぱりですが)。
シフトインジケータを作る
ハンターカブはキースイッチの左側に穴があります。販売店の人によると、ここにはUSB電源を付ける人が大半のようですが、私の場合はワイヤレス充電できるスマホホルダーを付けたこともあってUSBが不要でした。
余談ですが、Qi対応スマホを使ってる方は、このタイプのホルダーがめちゃくちゃ便利です(当たり前だけどUSBケーブルが不要)。下部にUSB端子も付いているので、何か別の機器を充電したいときにも対応できます。
で、その穴が使われずに残っているので何か付けたい
→ じゃあシフトインジケータでも付けてみるか
→ 既製品でこの穴に合うパーツなんてないので自作しよう
となったわけです。
部品を集める
ハンターカブには標準でニュートラルランプしかなく、それ以外のシフトポジションを知るすべはありません。
これはハンターカブから取り外したシフトポジション検知用のセンサですが、そもそも接点が一個(ニュートラル用)しなく、物理的に1~4速を検知できません。シフトインジケータを付けるには、まずこの部品を交換する必要があります。「スイッチASSY. チェンジ 35759KZVJ01」という別のカブ用の部品が使えます。
この辺の交換手順などについては、他の方のブログをご参照下さい(他力本願)。
シフトインジケータLEDは、ニュートラルが「N」表示できるこちらを使用しました。
上記リンクはAmazonですが、中国の通販サイトAliexpressだと同じものが1000円くらいと半額以下で買えます。私はそっちで買いました。
「シフトインジケータを自作」と言いつつ、本当に自作したのはマウント部分だけです。あの穴にピッタリとハマるものを設計して、3Dプリンタで出力しています。
内側にはビットインサートを埋め込んであり、ここにシフトインジケータLEDをネジ止めして固定します。
はめ込んだらこんな感じ。ちゃんと面一になりました。
シフトインジケータの装着
配線が多くて面倒くさいのですが、根性でなんとかします。作業時間は全部で1~2時間程度かかりました。
インジケータLEDは、あの穴にすっぽりと収まりました。固定は両面テープで、電源はヘッドライト裏のアクセサリ電源から供給しています。
乗車中はこんな風に見えます。マウント部に傾斜を20°付けたところ、ちょうど正面から表示が見えるいい感じの角度になりました。
ニュートラル表示。この緑色は輝度が低くて、太陽光の下ではほとんど見えませんでした。まぁニュートラルはメーター部分にもランプがあるので、特に困ることはありません。
シフトチェンジすると、ちゃんと現在のシフトが表示されました。たまーに2速発進してしまうことがあったので、これがあればミスを防げます。満足です。
電圧計を作る
なくても特に困らないパーツではありますが、次は電圧計も作っていきます。私は過去、別のバイクでツーリング中にバッテリ電圧が低下してエンジンがかからなくなったことがあります(原因はバッテリの初期不良だった)。また同じことが起こると怖いので、電圧を監視しとこうと思ったわけです。
これは既製品でもいいんですが、大きかったりロゴが目立つものが多くて、気に入るものがありませんでした。小さくてシンプルな電圧計が欲しいのです。作りましょう。
部品を集めて組み立てる
電圧計の部分はとにかく最小サイズを探した結果、これを買いました(買ったものは在庫切れになってたので、リンク先は同タイプのもの)。これもAliexpressで買うともっと安いです。
大きさはこれくらい。求めていたサイズ感です。
こちらも外装を自分で設計し、3Dプリンタで出力しました。窓の部分は透明アクリルです。
ちょっと分かりにくいですが、これは裏蓋。取付け先のハンドルに沿うよう曲面になっていて、さらに穴があってインシュロックを通せるようになっています(赤い線のように)。ハンドルへの固定がインシュロックで行えなるので、取付けも取り外しも簡単にできます。
組立て。まず窓の部分に透明アクリルを貼り付けます。
そのままだと隙間から浸水するので、エポキシ接着剤を使って隙間をすべて塞ぎます。
外装部分にビットインサートを埋め込んで、そこに電圧計をネジ止め。基板部分は浸水によるショートを防ぐため、エポキシ接着剤でガチガチにガードしました。
最後に裏蓋をはめ込みますが、これも浸水を防ぐため厳重に固めてあります。
ここまで隙間をガチガチに塞ぎましたが、そもそも3Dプリンタ素材はそのままだと水が染みこんできます。それを防ぐため、表面には防水剤を塗るとよいです。
これを3重くらいに塗ったところ、水道水をジャバジャバかけても全く浸水する気配はなかったです。防水化成功。
ところでこの電圧計の精度が気になるところですが、調整するとおおむね±0.1V以下の誤差に収まってました。目安として見る分には特に問題ないと判断。ちなみに電流は6mAです。
電圧計の装着
先に書いた通り、装着はハンドルにインシュロックで固定するだけです。振動が激しそうなので、念のため両面テープも付けておきました。
こいつの電源をどこから取るかですが、できるだけバッテリに近いところがいいので、
バッテリ → ヒューズ → リレー → 電圧計
の接続にしました。さすがに常時ONはいやなので、間にリレーを挟んでキー連動にしています。あと防水化はしているものの、万が一ショートしたときのためにヒューズは必須です。
まとめ
外装を自作したシフトインジケータと電圧計を紹介しました。
現状、私のハンターカブはこんなハンドルまわりです。
左下のスイッチはフォグランプ用。あとは電波クロックや、
ブレーキレーバーに共締めするタイプのRAMマウントも取り付けてあり(GoPro用)、わりと賑やかになってきました。
また何か作ったら報告します。
〈投稿者: 斎藤公輔(NEKOPLA)@kawausokawauso〉
組込みエンジニア。エアコンの配管や室外機を愛でながら、ときにはデジタルガジェットを制作したり、ライターとしてデイリーポータルZなどに寄稿したりする生活を送る。