VU計(音量メーター)は針式ですよ!でも針が振れるだけでは雰囲気モノになってしまう。入力信号の大きさをdB(デシベル)で知ることができたら? あることはあるが測定器。そこで誤差をちょっと許容したレベルにし、ミニプラグも挿さるフレンドリーな装置を開発しました。
<投稿者:レポートホンの極み屋>
「レポートホンの極み屋」は、個人開発屋です。放送局で技術部門を担当していた経験から電話レポート装置「レポートホンの極み」を放送局向け、特にコミュニティFM局向けに開発しました。
また、音量メーター「VU計の極み」をオーディオに詳しい方向けに開発しています。
開発の動機
音声機器を設計するとき、つながる装置の音声信号レベルが分からないと設計できません。測定器にあるのですが手が出ない。それに測定器はテスト信号を測定するもので、実際の音声信号を測るのに向いていない。さらに、簡易な測定器では+10dBレンジ、-60dBレンジがない。このレンジが必要な場合は多いのに!!「であれば開発しよう」というのが動機です 。
ATT(アッテネータ)を使いたい
音声信号レベルをdBで知りたい。測る手法は「VUメーターの針が0VUくらい振れるようアンプのゲインを調整して、そのゲインをdBで知る」。この「だいたい0VU振っている」ことを人間が判断するのは、機械にはニガテなところ。人間が判断した値は人間の音量感に合う。その人間の感覚に合うように機械的挙動を定めたのが「VUメーター」。dBで規定されたATT(アッテネータ)が要るが高価。ところが東京光音電波さんにATTキットがあることを知り、これはクリア。
ATTをVRのように使う
ATTはフルテンを基準に減衰を入れていく使い方だが、これは一般的でない。検討の結果、36dB ATTを入れた位置を基準として右回りでゲインが上がるように使うと分かりやすい。この方法に決めた。
初号機
初号機のメーターはジャンクのカセットデッキから外したもので「VUメーター」ではない。よって、量産は考えていない。
→後に、西澤計測研究所さんで継続入手できることを知る。
レンジ切り替えは、+10レンジは20dBのATTを、-30レンジは20dBのプリアンプを、リレーで切り替えていた。レンジ間の誤差は大きい。
→後に、OP-Amp 1ケとアナログSWで構成する回路を設計した。
メーターをケースに収める形にしたので必然的に大きくなった。
→後に、ケース上に乗せるデザインを考えた。
最大ゲイン66dBでも発振しなかったことに甘んじ、さらなる検討を怠った。
→後に、1枚基板にしたら発振で泣くことになる。
Ver2に向けて、OP-Amp 1ケでレンジ切り替え
OP-AmpとアナログSWで図のような構成にすれば、実現できる。レンジ間の誤差は抵抗値の誤差が主になるだけ。またレンジ間でゲイン調整は不要になる。
先の計算式で検討するとE12系列の抵抗値で実現できることが分かった。設計完了したも同然、とケース設計に移った。後にデバッグで、発振に泣くことになるが、それは別の機会に。
完成
最大感度-66dB(マイクレベル)で0VU振らせることができる。指示誤差は±0.5dBに収めることができた。とりあえず皆さんに見てもらえる製品が完成した。よかった。
詳しくはこちらのサイトで。
Ver3に向けて
発振から逃れるためジャンパを飛ばしたので、基板改版するのでいくつか改善したい。-66でなく-60で十分でないか「ATTをVRのように使う図」で分かるよう0,3,6,8・・・と最初だけ3dBステップになっている。
また、発振で泣いたのは最後の6dB。安全をみて最大ゲイン60dBで十分でないか。すれば全て2dBステップで分かりやすい。
入力端子にスルー出力がない。裏面写真を見ていただくと分かるように、4タイプの入力をつけてパネル一杯なのでスルー端子を付けられなかった。XLRを使う人はRCAを使わない、とユーザー層を割り切り、スルー端子をデザインした裏面パネルを数種類作り、注文時オプションにするか?
全てのニーズにお答えできるはずなく、着地点をどこにするか悩む。
<投稿者:レポートホンの極み屋>