シリコンチューブを使って、グリップ力の高い高性能オムニホイールを自作してみました。
<投稿者: さつき @satsuki_eng>
去年まで大学でロボコンやロボットの研究をしていた、新米の機電系エンジニアです。趣味として、見た人に「面白い!」と思ってもらえるような、少し変わったロボットを作っています。
https://twitter.com/i/events/1249293342556311553?s=13
何を作ったか
組み立て完了🔩
— さつき (@satsuki_eng) 2020年4月17日
文句なしの完成度…!!#Adventurer3X pic.twitter.com/pqoF0SgUsx
直径約60 mmの小型のオムニホイールを作りました。オムニホイールとは、周囲に小さなローラーが付いた特殊なタイヤで、これを3、4個組み合わせることで、全方向に移動可能な車両ロボットを作ることができます。RobocupやNHKロボコンで多用されており、ヴイストン株式会社などが販売を行っています。
なぜ作ったか
先日、「オムニホイールを通常と異なる用途で使ってみたい」という動機で、オムニホイールを使ったヘビロボットの制作にチャレンジしました。(詳細は別の記事で紹介しています。)
完成しました!新型ロボットです🐍#SnakeRobot #Adventurer3X pic.twitter.com/MIr9FgW9O5
— さつき (@satsuki_eng) 2020年5月12日
その際、市販のオムニホイールで目的に合うものがなかったので、1から自作したという経緯です。
準備したもの
1)3Dプリンタ
https://flashforge.co.jp/adventurer3x/
2)PLAフィラメント(黒)
3)シリコンチューブ(樽のタイヤ)
4)ピン(樽の軸)
5)ブッシュ(樽の軸受け)
6)インサートナット
参考
どうやって作ったか
Fusion360を使って設計を行いました。なるべくオムニホイールの外形が円に近づくように、18個の樽を等間隔に配置しました。溝のついた3Dプリンタ製のパーツ2つで、樽を挟み込む構造となっています。
オムニホイールは、原理上地面に1点で接地します。そのため、線で接地する普通のタイヤに比べて滑りやすいので、少しでもグリップ力のある素材を選ぶことが重要です。今回はシリコンチューブを切って使うことにしました。幅の精度を出すために、3Dプリンタで製作したジグを使って切断しました。
オムニホイールのタイヤ量産用に、治具作った#Adventurer3X pic.twitter.com/AT5GxyfGqa
— さつき (@satsuki_eng) 2020年4月17日
樽の軸受けには、摺動性の高いPOM(ジュラコンⓇ)のブッシュを使いました。ベアリングを使うことも検討しましたが、特に軽負荷/小型のオムニホイールを自作する際には、サイズ・性能・コスト的に、ブッシュに軍配が上がると思います。
これは…素晴らしいオムニになる😍 pic.twitter.com/GjL6L0fJaL
— さつき (@satsuki_eng) 2020年4月17日
3Dプリンタで作った2つのパーツはインサートナット(はんだごてで埋め込むタイプのナット)を使って固定しました。インサートナットを使えば、組み立て・分解が楽になり、見た目もすっきりするのでおすすめです。
クセになるインサートナット熱圧入
— さつき (@satsuki_eng) 2020年4月17日
(鍋蓋に押しつけて垂直を出してる) pic.twitter.com/P3jLcxkcCC
3Dプリンタで作ったパーツ同士をねじ止めすれば完成です。
最後に
今回はオムニホイールの作り方に絞って記事にしてみました。ロボコンや趣味の工作など、応用範囲は広いと思います。多くの方に届いて、ロボットの性能向上につながれば幸いです。
<投稿者: さつき @satsuki_eng>
去年まで大学でロボコンやロボットの研究をしていた、新米の機電系エンジニアです。趣味として、見た人に「面白い!」と思ってもらえるような、少し変わったロボットを作っています。