コンセント電源で動く時計「電気時計」って知っていますか?昭和に普及し平成で姿を消した電気時計が令和に3Dプリンタで蘇ります。
<投稿者:@KonoShintaro>
はじめまして。Makershipの高野(こうの)です。一応会社の社長をやっていますが、めちゃめちゃ小さい会社なので普段はバリバリ試作・設計エンジニアとして働いています。
時計を作りたかった。
さっそくですが僕は時計がとっても好きです。特に歯車が好きです。普段は受託の設計ばかりやっており、たまには自分で何か作ってみたいと思い今回時計を作ってみることにしました。会社にFlashforgeの3Dプリンタが3台あるので、3Dプリントできる設計でデザインしてみました。
電気時計とは?
シンクロナスモーターというモーターがあります。コンセントの交流電源で動き、周波数に同期したスピードで回転します。
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商用電源の周波数の精度はこちらの記事(http://www.gatelink.co.jp/hw/micon/acfreq/index.html)によると、54年に1秒というけっこう高い精度を持っているようです。
ちなみにご存知の通り、日本では商用電源の周波数が50Hzと60Hzの2種類が存在しています。これに対応するために、電気時計にはギア比を変え回転速度を切り替えるためのスイッチがついていたようです。
制作開始
まずは必要な歯車の数と歯数を決めていきます。歯車の大きさは歯の数とモジュールという歯の大きさを表す数字できまります。
手乗りサイズにしたかったので、モジュールは0.8~1で設計しました。ここからCADに入ります。千石電商さんで調達したシンクロナスモーターをCADに起こし、歯車も並べてみて全体のサイズ感を把握します。
次に筐体をデザインします。外側から歯車が見えるデザインにしたかったので、箱型ではなく枠のみの骨格にしました。配色も行っていきます。
歯車は白い板で前後を挟みます。デザイン性の考慮もありますが、軸が刺さる部分の厚みを増やし、軸ブレを防ぐ狙いもあります。
文字盤や針も設計したあと、ネジ穴や部品同士の嵌合を意識しながら詳細設計していきます。データが完成しました。大体2日かかりました。
あとは部品ごとに3Dプリントしていきます。ここで、3Dプリント時の寸法のズレで部品同士がかみ合わなかったり、穴がきつすぎたりしてしまうので、逐次データを直しながら出力を繰り返します。
プリントはflashforgeさんのCreator proというプリンターを使い2色で行いました。Creator proは2つヘッドがあり、2色出力ができます。2色同時出力もできますが、造形物に色が混ざったりしてしまうので黒は黒、白は白で一気に出力しました。ベッドに載る量も限界があるので、黒を2回、白で2回、合計4回のプリントで出力し終えました。
完成
なんとか動作しました。接着剤無しで組み立てできるように設計したつもりでしたが、ずれで泣く泣く接着している部分も結構あります。実際デスクにおいていますが、本当にズレないし動作音も静かで普通に使えます。そして、ゆっくり動く歯車がとてもとてもセクシーです。。!
最後に
作った時計たちを、8/3・8/4に行われる趣味テック際で展示します!また、組み立てキットを5000円位で限定5セットのみですが販売予定です!
趣味TECH祭に関してはこちら!
<投稿者:@KonoShintaro>
はじめまして。Makershipの高野(こうの)です。一応会社の社長をやっていますがめちゃめちゃ小さい会社なので普段はバリバリ試作・設計エンジニアとして働いています。