生活をしていると、「困るほどではないけど微妙に不便」と感じることがある。3Dプリンタを使って、そんな不便さを解消する「ちょっとした物」を作ってみた。
〈投稿者: 斎藤公輔(NEKOPLA)@kawausokawauso〉
組込みエンジニア。エアコンの配管や室外機を愛でながら、ときにはデジタルガジェットを制作したり、ライターとしてデイリーポータルZなどに寄稿したりする生活を送る。
3Dプリンタで何を作ろう
最近になって3Dプリンタを購入した。
買う前は、
「どうせ買うなら高くても良いものを買った方が失敗しないよ」
「買っても本当に使うの? すぐに埃をかぶるよ」
という、天使と悪魔のせめぎ合いであった。
ずいぶん悩んだ末に買ったのは、家庭用3Dプリンタの老舗 XYZ プリンティングの「ダヴィンチ nano w」という機種。理由は安くて小さい(その割にちゃんとしてそうだった)から。結局は悪魔の意見に負けてしまった。でも小さいのは正義なのだ。仕方がないのだ。
価格は2万円台後半。wifi 機能なしの「ダヴィンチ nano」なら2万円台前半である。小さいので作業机の片隅に置ける。
XYZプリンティング3Dプリンター|ダヴィンチnano w|wifi対応:組立済完成品:オートキャリブレーション機能:4.7kg小型:造形サイズ12cm角:本体カバー付きで安全:3FNAWXJP00B
- 出版社/メーカー: XYZプリンティングジャパン(BISS)
- 発売日: 2018/12/01
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とはいえ、値段だけ見ると「格安3Dプリンタ」の部類である。本当に役に立つのか心配であった。しかし蓋を開けてみると、こいつが予想以上に使えるのだ。
フルカラーに光る蚊取り線香(の土台部分)を作ったり、
マウスのボールを使ったボールペンも、ダヴィンチ nano w で出力した。
もちろんデメリットもあって、気になるのは「印刷速度が遅い」「専用フィラメントが高い」という点。よって、体積の大きいものや、高頻度での印刷には向いてない。なのでそこは割り切って、基本的には「ちょっとした物」を作っていくことにした。
なにも作品を作ることだけが3Dプリンタの役目ではない。ちょっとした物でいいのだ。生活の中で感じた「微妙な不便さ」を、3Dプリンタで解決していきたいと思うのだ。
ちょっとした物を作る
まずはこれ。「ちょっとした物」にも程があるというか、ただの板切れである(両面テープで引き出しに貼り付けている)。
こんな風にセットすると、
ティッシュ箱を手前に引き出しても、箱が落下しないのだ。やったー!
正直、私以外でこれが便利だと思う人は少ないだろう。でも私は困っていたのだ、ティッシュ箱が落下することに。いきなり「世の中を便利にしよう」なんて大それたことを考えなくてもいい。まずは自分が便利になればいいのである。
この程度なら3Dモデルも5分で作れる。すぐに作れて、生活がちょっとだけ便利になる、それが「ちょっとした物」。どんどん作っていこう。
続々とできあがる、ちょっとした物
我が家にある、室内用もの干し。
ノギスでサイズを計測すると、
オーダーメイドフックのできあがり。気持ちいいくらいピッタリはまる。汎用品には出せない、3Dプリントの良さである。
これで帽子がかけられるぞ。やったー!
同様に、風呂場にもオーダーメイドフックを仕立てた
これは何だか分かるだろうか。聞いておいてなんだが、絶対分からないと思うので答えを言うと、
洗面所の棚にピッタリ合うようになっていて、
メガネが置けるぞ。やったー!
この便利さも、きっと私にしか分からないだろう。風呂に入るとき、はずしたメガネを置くちょうどいい場所がなかったのだ。この「ちょっとした物」があることで、メガネの置きやすさが格段にアップした。私にとっては最高のアタッチメントなのである。
まだまだ作るぞ、ちょっとした物
今度はちょっと変わった形のフックである。またフックかよ! という声が聞こえてきそうだが、しょうがないのだ。抗いようもなくフックは便利なのである。フックを制する者は生活を制すと言っても過言ではない。
例によって我が家のラックの、余っている穴にピッタリはまるようになっていて、
テープ類がキレイにかけられるのだ。やったー!
最後はもう少し実用的。これがあれば、メルカリやヤフオクの発送時に封筒の厚さが規定内かどうか測れる優れもの(ただしダンボールでも作れる)。
まとめ
作れば作るほど、生活がちょっとずつ便利になっていくのを実感できる。おそるべし、ちょっとした物。
ちなみにこんな風に3Dプリントするためには、当然ながら3Dモデリングをする必要がある。そう聞いて「なんだか難しそうだなあ」と思うなかれ。ちょっとした物を作るだけなら、やり方はすぐに習得できる。
自分も全くゼロの状態からスタートしたが、Fusion 360 の参考書を1時間ほど読んだだけで、これくらいのものは作れるようになった。
これからもどんどん「ちょっとした物」を作っていきたい。
〈投稿者: 斎藤公輔(NEKOPLA)@kawausokawauso〉
組込みエンジニア。エアコンの配管や室外機を愛でながら、ときにはデジタルガジェットを制作したり、ライターとしてデイリーポータルZなどに寄稿したりする生活を送る。