技術書典生まれの即売会向けミニレジ「レジプラ」。技術書典4の開催を記念して、Kindle本「レジプラができるまで」の内容を無料公開。
通信方式の検討
さて、何となく同人ハードウェア的なものを作ることになったTOKYO FLIP-FLOPです。レジプラが「スマホと連携するハードウェア」というコンセプトは決定事項ですので、まずはスマホとハード間の接続方式を検討するところからスタート......と言いたいところですが、ほとんど議論はなく、「まぁ今やるならBLE (Bluetooth Low Energy)だよね」と自然に決定しました。
いちおう説明しておくと、BLEは超低消費電力が特徴の通信方式です。レジプラみたいに、 たまにボタンが押されたときにだけ動く、というような用途には最適。iPhoneでは、4S以降の全機種が対応しています。
通信モジュールの選定
BLEの通信モジュールには、「koshian(こしあん)」を採用しました。koshianとは、マクニカが販売しているマイコン内蔵のBLEモジュールです。主な特徴をまとめてみます。
・そこそこ安い
1個980円(税抜)と、手軽に扱えるBLEモジュールの中ではかなり安いです。
・開発自由度が高い
Broadcom社のチップを搭載しているため、同社が提供する開発環境を使った独自ファームウェアの開発が可能。
・技適取得済み
素敵なことに、koshianを組み込んだ機器は、個別に技適を取得する必要がありません。
・プロトタイピングが容易
「konashi(こなし)」を利用すれば、簡単にkoshianを使ったプロトタイプが作れます。konashiとは、koshianの外部回路(電源やピンヘッダ)と、iOS用のSDKがセットになった開発キットです。BLEの知識がゼロの状態でも、konashiのAPIを叩くだけで、iPhoneと koshianを連携させたアプリがすぐに作れてしまうのです。これがkoshian採用の決め手ともなりました。面白いので、電子工作をやる方はkonashiで検索してみると幸せになれるでしょう。
世界最初のレジプラ
そのkonashiを使って制作したのが、写真のプロトタイプです。konashiにプッシュスイッチを接続しているだけの超簡単なもので、制作時間は......覚えてないですが、アプリも入れて1時間くらいじゃないでしょうか。これでいきなり、「物理スイッチを押すとアプリが反応する」という基本動作の確認ができてしまいました。konashiの力は偉大です。
外装付きレジプラ初号機
動作確認ができた後は、外装付きモデルの制作です。この頃、TFFメンバの一人が3Dプリンタを買ったので、それを大いに活用しました。
ベースになっているのは、100 均で買ってきたトレイです。100均に行けば、たった 108円払うだけで、こんなにもキレイに成形されたプラスチックが手に入るのです。素晴らしいですね。そして、そのトレイにかぶせる蓋の部分を3Dプリンタで作っています。ボタンは、パーツショップを探し歩いて一番押したくなるボタンを選択。良いボタンでしたが、高級品だったため、残念ながら製品版では採用が見送られました。
こんな風に、かなりの短時間で、それなりに使える形になってしまいました。そして実際に動くレジプラを自分たちで触ってみて、「これはかなり良いモノなのでは!?」と、改めて自信を持つことができたのでした。