誰でも真似できるシンプル構造で、スマートグラスをDIYしてみました。コア部分の作り方を紹介します。
<投稿者:Nii @neet2121>
本職は機械エンジニアですが、仕事の合間にプロジェクト的モノづくりをやっています。今は電子サバゲ―システムを作っています。
何を作ったか
鏡像表示のプログラムをマスターしたので地味に進捗。 pic.twitter.com/aLwX8AAhmQ
— Nii (@neet2121) November 10, 2019
透明な板を覗くと、文字や映像が空中に浮かんで見えます。肉眼では完全なピントは得られず、若干滲んだ見え方になります。
なぜ作ったか
電子サバゲ―システムのひとつの要素として、ヒットポイントや残弾数を表示するインジケータが必要でした。バキュームフォームで他の部品を作っているときに、これでスマートグラスも作れそうな気がして、チャレンジしてみました。
参考資料
オープンソースのARプロジェクトであるProject North Starでは、LCDとリフレクタと呼ばれる曲面ハーフミラー1枚だけでスマートグラスを実現しています。リフレクタの設計方法を参考にしました。
準備したもの
1)M5StickC
2)3Dプリンタ(FLASHFORGE Adventurer3)
3)ABSフィラメント
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4)塩ビ板(板厚0.5mm)
5)バキュームフォーマー
自作しました。作り方は一般的なので、詳細は割愛します。
6)研磨道具
耐水ペーパー#400~#2500ぐらいとプラスチック用コンパウンドを使用します。
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どうやって作ったか
Project North Starを参考に、リフレクタを設計します。リフレクタは回転楕円体の一部です。映像が見える距離は楕円の長軸の長さと等しいので、500mm先に映像が見える条件で、楕円の形状とM5StickCの位置を検討します。リフレクタやM5StickCが目に近すぎると、眼鏡に当たったり、視野の邪魔になるので、良い具合のところに調整します。
モデリングはFusion360を使用しました。リフレクタは回転楕円体から適当な範囲を切り出して作成します。またM5StickCに固定するためのマウントを一緒にモデリングします。
リフレクタの型を厚み3mm程度でモデリングします。リフレクタ型の3DデータはSTL形式でダウンロードできます。
リフレクタの型を3Dプリンタ(Adventurer3)で出力します。型の精度が重要なので、積層ピッチは0.08mmと小さくしています。バキュームフォーム後にスプリングバックと呼ばれる現象で若干変形が出るのですが、特に補正はしていません。リフレクタ型を研磨します。耐水ペーパー#400→#1000→#2500→コンパウンドで仕上げます。積層の高さによって硬度にムラがあるので、凹凸ができないよう注意します。
バキュームフォームは何とか成功。 pic.twitter.com/nvcVFtwhBn
— Nii (@neet2121) October 7, 2019
バキュームフォームでリフレクタを作ります。。塩ビ板(0.5mm)をガスコンロで熱し、全体的に温まったら(垂れてくる前ぐらい。感覚なので慣れないと難しい…)、型を乗せたバキュームフォーマーに被せます。この際、型と塩ビ板の清浄度に注意します。小さな埃を挟んでもくっきり跡が残ります。成功すれば、塩ビ板が型に密着します。
余分な部分をハサミで切り取って、リフレクタの完成です。
M5StickCに固定するためのマウントも3Dプリンタで出力します。
マウントの3DデータはSTL形式でダウンロードできます。
リフレクタをタッピングビス(φ2.3)で固定し、M5StickCにツメをカチっと嵌めれば、組立完了です。
テスト表示用のプログラムを作成します。リフレクタに反射して見える画面は鏡像となるため、LCDの表示を鏡像に変更するコマンドが入っています。
以上で完成です。
最後に
今回は自作スマートグラスのコア部分の作り方に絞って記事にしてみました。応用範囲はとても広いと思います。多くの方に届いて、様々なアイデアの種にして頂ければ幸いです。
<投稿者:Nii @neet2121>
本職は機械エンジニアですが、仕事の合間にプロジェクト的モノづくりをやっています。今は電子サバゲ―システムを作っています。