技術書典生まれの即売会向けミニレジ「レジプラ」。技術書典4の開催を記念して、Kindle本「レジプラができるまで」の内容を無料公開。
電子部品
koshian以外の実装部品は、すべて秋月電子通商で売っている汎用部品で構成されています。入手性が高く、できるだけ安価な部品を使うというポリシーです。部品点数も極力抑えているため、個人的には付けたかったインジケータ用のLEDも、泣く泣く採用を見送りました。実装に関しては、koshianが一番のネックとなります。最初の試作基板では、コネクタ経由で接続する構成にしていました。
しかし、写真を見るとよく分かるのですが、とにかくコネクタのピッチが狭い! 熟練した技能がないと半田付けが不可能ということで、次の試作基板からはkoshianを直接基板に半田付けする形となりました。それでも1.27mmピッチなので、難易度は高めです。キット売りの場合も、この半田付けを強いるのは酷だということで、自分たちでせっせと半田付けしています。
外装
最後は外装です。他の要素と比べると、外装を作るのは一気にハードルが高くなります。きちんと作るなら、もちろん金型が必要です。最近では安価に製造してくれる企業もありますが、我々には先立つものがないうえに、回収できるかどうかも未知数。極力開発費は抑えなければなりません。3Dプリンタにしても、体積が大きいと値段が跳ね上がりますし、出力にも時間がかかりすぎて量産には向きません。
プロトタイプの段階では、外装の一部に100均のトレイを使ってしのぎました。これを製品版としてステップアップさせるためには、安価で安定した供給が可能な生産方式を確立する必要がありました。この課題を解決すべく、我々が出した回答が「桐箱」です。いきなり論理の飛躍がある気はしますが、とにかく「桐箱はいいぞ」と言いたい。何がいいって、安い割に見た目に高級感があり、しかも加工が容易なのです。おまけに、妙なかわいさや、ゆるさがあります。そんなわけで、桐箱屋から買い付けた大量の桐箱をファブラボ的な施設に持ち込み、せっせとレーザ加工して作ったのが、レジプラの外装となっています。
その他
こんな風に、ハードを作ろうと思うと、とにかくやることが膨大です。ここで紹介した部材以外にも、スマホを立て掛けるアクリルスタンドもレーザカッターで加工していますし、完成品の場合は電子部品の実装も必要です。また、koshianの導通・動作テストも、専用の自作アプリを使って行っています。
レジプラは、完成品をキットの3000円増しという値付けにしています(2016年6月現在)。高い! と思われるかもしれませんが、実装にかかる工数が多すぎるので、できるだけキットの方を買ってもらいたいという意図もあったりします。今後は生産能力の拡大(端的に言えば生産委託)が必要ですが、とりあえず数が出るようになってからですね。しばらくは家内制手工業でがんばります。